ロレックス・デイトジャスト:Ref.1603 Cal.1560
症状:精度不良(測定不能)・ヒゲゼンマイ変形
修理内容:オーバーホール・ゼンマイ・パッキン交換・ケース・ブレスレット洗浄
修理金額:27,500円
分解して洗浄しました。60年代の製造で、かなり使用感があります。ヒゲゼンマイが大きく変形していて精度は全く出ていません。
2番車(長針の付く歯車)の受け穴が変形して広がっています。穴を締めるタガネで叩いて調整しますが、すでに以前の修理で詰めた跡がありました。15系はこの2番車の受け穴が広がる事が多いです。このあたりに精度などの個体差が出てきます。
変形していたヒゲゼンマイを修正します。精度に直接影響のある部分ですので、注意が必要です。あまりひどく変形していると修理不能になることがあります。
ヒゲゼンマイを触りましたので、ビートエラーが変わります。ビートエラーを修正するためのヒゲ持ちの可動域を超えてエラーがありましたので、ヒゲ玉を直接動かして調整します。
時刻機構まで組み立てました。ヒゲゼンマイを修正すると精度が変わりますので色々と調整が必要です。この時点で調整しても精度が変化する事がありますので、ランニングしながらの調整が必要です。
このムーブメントは構造の関係で自動巻ユニットよりも先にダイアル、針を取り付けます。
自動巻ユニットを組みました。テンプ受けのネジが傷んでいますので、ネジを磨きます。写真は磨く前になります。
ヒゲゼンマイを修正することは多くありますが、微妙な作業のためランニングテストさせながら調整します。そのため通常より時間がかかることがあります。
今後も色々な作業をご紹介いたします。