修理ブログ
OMEGA スピードマスター プロフェッショナルのオーバーホール
オメガ スピードマスター・プロフェッショナル:Cal.1861
症状:不動(ゼンマイ切れ)
修理内容:オーバーホール、ゼンマイ・パッキン交換、ケース・ブレスレット洗浄
修理金額:33,000円
オメガ・スピードマスター・プロフェッショナルのオーバーホールです。レマニア社製造の歴史の長いムーブメントで、比較的コンパクトなクロノグラフです。キャリバーは1861で、ロジウムメッキですが、年式によって番号やメッキの色が変わります。
ゼンマイ切れです。手巻でも自動巻でもゼンマイは切れるときには切れます。いっぱいまで巻いても、切れないように途中まで巻いてもあまり変わりません。手巻の場合はいっぱいまで巻いて使用して頂く方が精度は安定します。ただ一日に何回もいっぱいまで巻くのはおすすめしません。
洗浄した後組み立てます。このムーブメントは頑丈で壊れにくい構造ですが、精度はやや広めな印象です。クロノメーター規格ではありませんし、精度よりも頑丈さを主に設計されている感じがします。
クロノグラフ機構まで組み立てました。古いクロノグラフではクロノグラフランナーとミニッツレコーダーのつなぎが上手くいかないモデルもありますが、このキャリバーはそういった不具合は起きにくい構造になっています。
裏面(文字盤側)です。サビはもちろんですが、オーバーホール自体が初めてだったのかキズもありません。非常に綺麗な個体です。
ダイアルと針を取り付けます。これからケーシングしてランニングテストを行います。スピードマスター・プロフェッショナルのムーブメントは頑丈ですが、数が多いため個体差もあります。もし部品交換が必要な場合は別途お見積いたします。
オーバーホールのご依頼も多いモデルですので修理の参考にして頂ければ幸いです。
BREITLING ブライトリング ナビタイマーのオーバーホール
ブライトリング:Cal.ETA7750
症状:不動(ゼンマイ切れ)
修理内容:オーバーホール・ゼンマイ・パッキン交換・ケース洗浄
修理金額:33,000円
ブライトリング・ナビタイマーです。ムーブメントはETA7750をベースにしたモデルとなりますが、構造自体は同じです。
分解洗浄後、組み立てます。
ゼンマイが切れていましたので、交換して組み立てます。ゼンマイは消耗品のため、切れるときには切れます。香箱(ゼンマイが入る部品)を分解してゼンマイを取り出して見ると切れるかどうか分かる時もありますが、使用している段階で分かることはありません。
クロノグラフ機構まで組み立てました。
他に交換が必要な部品はありませんでしたので、順序良く組み立てます。クロノグラフの場合はリューズの他にボタンがありますので、防水性は強くありません。10気圧あるモデルでも内部に湿気が入ることがありますので、水・汗には注意が必要です。
裏側です。
このムーブメントも9時~3時の間にカレンダー早送りをすると故障することがあります。先に時刻を確認してから日付を合わせることをおすすめいたします。
ダイアルと針を取り付けます。
クロノグラフは針同士が当たらないように、またなるべく真ん中に来るように取り付けます。
ケーシングの後ランニングテストを行います。ETAベースのムーブメントは部品流通がありますので、修理金額も低価格で行うことが出来ます。修理内容の参考にして頂ければ幸いです。
Frank Muller フランク・ミュラー ロングアイランドのオーバーホール
フランク・ミュラー:Cal.ETA1727-1
症状:定期メンテナンス
修理内容:オーバーホール・パッキン交換・ケース洗浄
修理金額:22,000円
フランク・ミュラー・ロングアイランドのオーバーホールです。手巻き式のスモールセコンドで、非常にシンプルな構造です。フランク・ミュラーは正規品の扱いが細かく、オーバーホールや電池交換(クオーツの場合)も色々と制約があるように聞きます。そのため正規店での修理をおすすめすることもあります。
分解して洗浄しました。
組み立てました。シンプルな構造のため故障も少ないと思います。
裏面です。カレンダーも無くシンプルです。
ダイアルと針を取り付けました。ケースは18Kのため定価はかなり高額なモデルかと思いますが、ムーブメントはシンプルなため修理金額はそれほど高額にはなりません。オーバーホールで22000円になりました。
修理の参考にして頂ければ幸いです。
ROLEX Yacht Master CAL.3135 ロレックス・ヨットマスターのオーバーホール
ロレックス・ヨットマスター:Ref.16622 Cal.3135
症状:精度不良(進み)
修理内容:オーバーホール・ゼンマイ・パッキン交換・ケース・ブレスレット洗浄・防水検査
修理金額:27,500円
しばらく修理依頼が立て込んでブログの更新が出来ず申し訳ありません。
修理依頼ではおそらく最も多いロレックスのCal.3135です。非常に優秀なムーブメントで、一部に不具合は出ることがあるものの、定期メンテナンスをして頂ければ長く愛用して頂けるモデルです。精度不良ですが、一日に10秒程進む程度です。
分解洗浄を行い組み立てました。この状態でおおよその精度を出し、ランニングテストを行いながら精度を調整していきます。
裏面です。強いバネで日車を飛ばします。
ダイアル裏面です。ヨットマスターは文字盤がプラチナ製で刻印があります。重い文字盤です。
文字盤と針を取り付けて完成です。
修理期間は4〜5週間頂戴しております。修理の参考にして頂ければ幸いです。
PANERAI パネライ ルミノール パワーリザーブ付きのオーバーホール
パネライ パワーリザーブ付き:Cal.7750ベース
症状:不動(ゼンマイ切れ)
修理内容:オーバーホール・ゼンマイ・パッキン交換・ケース洗浄・防水検査
修理金額:33,000円
分解しました。パネライは自社ムーブメントもありますが、以前はETA7750をベースとしたモデルを販売していました。自社ムーブメントの場合は部品交換がある場合はメーカーでの修理となりますが、ETAベースであればある程度の部品は入手出来ます。一部オリジナルに変更されている部品は入手出来ませんので、故障内容によって修理の可否が変わります。
裏側です。5〜6時辺りにある歯車がパワーリザーブになります。持続時間を表示する機能のため、ゼンマイと噛み合っています。この部分はパネライオリジナルになるかと思います。
組み立てます。ベースムーブメントであるETA7750はクロノグラフがありますが、その機構を取り払って単純な自動巻だけにしてあります。ゼンマイが切れていましたので、交換しています。
自動巻ローターを組み、ダイアル、針を取り付けます。パワーリザーブはゼンマイの残量が分かりますので、使いやすいかと思います。
修理の参考にして頂ければ幸いです。