みなさまこんにちは!松野時計店の野の方です。
今日は台風の影響で早めにお店を閉めて帰りました。で、今日はライジンですよ。みなさまご期待のサップ対大砂嵐ですよ。
楽しみですか?あ、見ませんか。やっぱり堀口VS天心ですか。あ、興味すらありませんか。まあそうでしょうね。
勝手なイメージですが、いつの間にかボクシングに大きく差をつけられた感じがします。私も以前はボクシングより格闘技を見ていましたが、今じゃライジン撮ってもほぼ早送りですもん。
村田諒太も時代が時代ならプライドに行ってたかもしれんですよ。あ、そりゃない?もうね、やりましょうよ、天心VS尊。大みそか。それしか格闘技の復興は無い。重量級じゃなくても大トリを張れる人材がいるじゃないですか。
時代が時代なら井上尚弥もプライドに・・・あ、そりゃない?もうね、団体うんぬんより強い奴出てこいやー!・・・出てこんか。いつまでたってもプロレスの異種格闘技って感じじゃん、といいながら見ています。UWFインターとか懐かしい。有田と週プロ楽しい。
ぶつくさ言いながら今日はおなじみになりつつある?バルジューと久しぶりなIWC、レアなシャウアーです。
いきなり歯車とドリル
ご依頼の品物はバルジューの730です。730は72Cの後継機って感じだと思うんですが、トリプルカレンダーにクロノグラフとなります。状態としては不動、カレンダーは早送りは出来るものの時刻と連動しません。
写真はそのカレンダーを送る歯車なんですが、真ん中にある勾玉みたいな部分がありますよね。本来は勾玉の先に細いバネが付いています。そのバネで日車・曜車を送るわけですが、折れて無くなっています。
まず新品パーツを探しますが、当然ありません。次に中古も探しますが、ありません。無さそうですがどうしましょうとご連絡するとドナー機を探しましょうとなりました。が、一式では高すぎます。どうしたものかと思いながら部品は探し続けていました。
ピンを立てる
探しても無いので、どうすっかと考えていると・・・そういえば72Cはバネじゃなくてピンで送っていたなと気づきました。もし交換する歯車が見つかったとしても元の歯車は交換して終わりになるわけです。
じゃ、ダメ元でピンを立ててみようと。参考になる歯車が無いので、何となくこの辺だろうと山勘、ではなく、だいたいの感触でピンを立てる穴を開けます。うん、それを世間では山勘というけども、開けたところが先ほどの写真。
でその穴にピンを立てたのがこちらの写真となります。上手く動くかなぁ。上手くいけば修理金額は安く済みます。
さてどうだ
全体を分解する前にとりあえずカレンダーがまともに動くか試してみます。真ん中の日付と左上の曜日が先ほどのピンで送ってくれればOKなんですが、なんとか上手くいきました。
元々ピンが立っていて、それが折れているなら立て直すとすぐ分かるわけですが、バネだと思いつくのに時間がかかってしまいました。年をとって頭がかたーくなってるんだなぁ。そりゃ松の方も禿げるわ。ハハハ。私はフサだけど。ハハハ。
それなら本格的に分解していきます
テンプの下にRと730の刻印がありますね。状態も良い方で、特段問題は無さそうです。
分解しました
結構前に買ったよ!と言っていたプラ製のホルダーを使っているように見えますが、実は使ってません。使いにくいんだよなぁ。
どっかに金属製売ってないかなと探しています。○ンマイ○ークスの社長様(神)のブログを見ているとそのホルダーが見られるんですが、うらやましい。くれませんかね。あ、くれませんか。
最近某ネズミの時計を組んでましたが、ネズミよりもっと希少な文字盤というか個体をお持ちらしいです。いいなぁ。くれませんかね。あ、くれませんか。今後ともよろしくお願いいたします!
時刻まで
この系統のバルジューはゼンマイが強くて調子が良い?というか元気が良すぎて振り当たりするぐらい振る事があります。振り当たりというのは、えーっと、なんていうのかチコチコ時間を刻んでいるのがチコッチコッチコッとなってやたら進む症状です。
何?分からん?すっげー早くなるのよ、振り子が。ガンガン振るの。うーん若干違うけどまあいいや。詳しく知りたい人なんていないだろう。
どしどし組んでいきます
完成です
精度はボチボチ出そうです。後はランニングテストで調子を見ながら肝心のカレンダーが上手く動いてくれるか確認していきます。
このままで問題無く作動してくれればオーバーホールで30000円+税で完成予定です。
歯車の加工がウンヌンと言えば工賃が頂ける、と思います?全部お客様にお話ししてますからダメです。加工自体ダメ元で試したことですし、今回はサービスですよ。
そもそもまともに動くかどうかこれから試していきますし。遠方からご利用ありがとうございます!お時間ばかりかかってしまいすみません。
次はIWC Cal.+55231(たぶん)
IWCの記載は文字盤にあったのを確認しただけで、機械にはPEERLESSと打ってあります。これ本当にIWC?と思ってしまいました。ちゃんと機械体の裏側にIWCの刻印と+55231と打ってありました。
+55231ってなんだ。89とかなら有名ですが、こんな妙なキャリバーは初めて見ました。海外のサイトでは20年代とかってありましたけど、さすがにそれは無いと思います。あっても40~50年代ぐらいですか、分かんないですけど。でも古いです。
精度が出ていません
お預かりした際に精度をタイムグラファーで確認しますが、精度表示が出ないぐらい調子は良くありません。その時点で機械を見るとヒゲゼンマイがかなり変形しているのが分かりました。
部品なんて無いだろうから大丈夫かなぁ。写真は変形した巻上ヒゲです。平ヒゲを直すのも大変だけど、巻上はもっと大変(個人比)です。とりあえずある程度になるかお見積でお預かりしました。
ピンセットを両手に持ってカニのように修正
ヒゲを触るピンセット、通称ヒゲピンと顕微鏡を使って直していきます。ひどく変形していると修正不能になります。直せるお店もあるよってならゼヒそちらにドウゾってなぐらい大変です。
写真ではある程度修正してあるように見えますが、大外の巻きが甘い感じです。もうちと調整が必要です。
片重りをみています
ヒゲを直すついでにテンプの片重りが無いか見ています。コロコロとルビーの歯の上を転がして、重さが偏っていないか確認しています。
ビートエラー調整
ヒゲの形がそれなりになったので、ビートエラーを調整しています。本来であればオーバーホールした後に確認しますが、精度がある程度出るか確認のために作業しています。目途が立つかどうか。
とりあえず組んでみました
それなりに作動してくれているようです。お見積りがご了承頂ければ本来のオーバーホールに進みます。もちろん古い個体ですので、他に不具合があったり、精度が出ずご返却になる場合には料金はかかりません。頼む、動いてくれよ。
針を合わせる
お預かりした時には針は外れており、分剣は欠損していました。合いそうな分剣を探してくれませんか、とのご依頼でしたが、丸型ならあるかも知れませんが、角型は非常に難しい。角型の針は短いんです。丁度運よくストックが・・・って事はありませんので、加工します。
青焼の針なので、時代的には懐中の針が良さそうですが、穴が大きすぎ。タガネで穴を詰めて合わせた所が写真の状態です。当然ですが長ーい。
切断・加工
右が時、左がさっきの長いヤツを切断して加工したものです。ぴかぴかのアルミじゃ当然合わないし、焼も入らないし、やっぱり古い青焼針が良さげです。
先端に白い塗料をつけて
とりあえず取り付けてみました。写真じゃそんなに違和感が無いように見えますね。ただかなり無理に針穴を加工しましたし、機械の状態も見ていきたいので、しばらく様子を見てからお見積のご連絡になります。
もう少しお時間を頂きたいと思います。あ、お煎餅ありがとうございました!おいしく頂きました。
最後はシャウアー
なんか古いモデルばかり紹介しているとそういうお店なのかなと思われがちなので、そうでもないですよって事でシャウアーをご紹介です。
以前から度々ご依頼頂いているお客様で、前回の紹介はブライトリングでした。毎回私好みの品物を修理させて頂いております。ご遠方からありがとうございます!今回はシャウアーですよ。ある所にはあるんだなぁ。かなりカッコいいです。
ケースを分解
シャウアーのキモはケースですよね。以前時計雑誌を読んでいた頃にはゴーグルをつけてケースを削っているシャウアー氏の写真を見た事があります。裏スケでベゼルをネジで留めるスタイル。
ネジをデザイン的に見せるのはカルティエがやってますね。カルティエよりもだいぶゴツイケースデザインです。クロノグラフですのでプッシュボタンも外します。
ムーブメントはETA7750ベース
7750を元にしたムーブメントです。状態は大変綺麗。特に問題点も無さそうです。そりゃね、あれだけ高級品からレアものまでお持ちなら使う機会はとっても少ないのでは(笑)。ほんと凄いっすよ。
裏面
7750をベースに、と言いましたが、7750といえば縦目の3カウンターです。このモデルは12時のインダイアルに連結車をつけて、本来は無い3時にクロノ分積算を持ってきています。これで縦目3カウンターから横目の2カウンターにしています。
7750って便利だなぁと思いますが、以前同じ型のモデルでこの積算に苦労したので結構緊張します。こういった改良部分はパーツがありませんので、もし不具合があると大変です。今回は問題なく作業できました。良かった。
分解しました
組立中
さすがに7750は数えきれないぐらいに作業してきましたので、いつも通り組んでいきます。元気に作動しています。
ケーシング
シャウアーの初期モデルは文字盤にシリアルナンバーが入っているので、裏面だけ。ブログに載せてもまず大丈夫だし、どうしても気になるならシリアルにモザイクでもかけたらいいんじゃない?っておっしゃって頂きましたが、やはり気になるのでこちらだけ掲載しました。
本当にカッコいいデザインですよ。いつもご遠方からレアモデルをご依頼頂きありがとうございます!毎回私は楽しみながら作業させて頂いています。
さあライジン見るか。サップVS大砂嵐見るか。哀しきモンスター対決見るか。見るか?・・・早送りだろうな。おっとただ今22時50分ですが、風と雨が結構凄いです@静岡。みなさまお気をつけ下さい。ではまたシーユーネクストタイム、野の方でした。アディオース!