修理ブログ
ROLEX DATE JUST CAL.1560 ロレックス・デイトジャストのオーバーホール
ロレックス・デイトジャスト:Ref.1601 Cal.1560
症状:定期メンテナス
修理内容:オーバーホール・ゼンマイ・パッキン交換・ケース・ブレスレットライトポリッシュ
修理金額:33,000円
分解しました。長く使用せずそのまま放置されていた個体ということで、使用に当たりメンテナンスをご依頼頂きました。長年使用されていなければ無理に動かさず、そのまま保管して頂く方が時計には良いです。毎日ワインディングマシーンで回す必要はありません。
15系のムーブメントは個体差がかなりあります。こちらの個体はしっかりとメンテナンスされていたようで、1番受(ゼンマイの受け穴)の摩耗が修正してありました。受け穴に綺麗に沿った修正で、非常に丁寧な作業です。
ゼンマイを交換して組み立てます。
裏側です。こちらの個体もカレンダーがジャストしない不具合がありましたので、日送りを調整しました。15系でも1530はデイトジャスト機構が無いモデルもあります。
ダイアルと針を取り付けます。ライトポリッシュをしたケースに入れてランニングテストになります。ムーブメントの状態で精度が変わりますので、様子を見ながら調整していきます。
修理内容、金額の参考にして頂ければと思います。
ROLEX SUBMARINE CAL.3035 ロレックス サブマリーナのオーバーホール
ロレックス・サブマリーナ:Ref.16800 Cal.3035
症状:不動(ゼンマイ切れ)
修理内容:オーバーホール・ゼンマイ・パッキン交換・ケース・ブレスレット洗浄・防水検査(20気圧)
修理金額:27,500円
分解しました。16800のフチ無しはかなり高額になっています。サブマリーナに限らずですが、ロレックスのスポーツモデルは高すぎる気もしますが、需要があるので仕方ないかとも思います。ムーブメントは3035です。
切れたゼンマイを交換して組み立てます。ゼンマイとパッキンの交換はオーバーホール金額に含めています。3035も不具合の起きにくいムーブメントです。
回転ベゼルが固着して回しにくくなっていました。隙間に汚れがあると回転が重くなったり、回転しなくなったりします。ポリッシュの指定がなくてもベゼルは分解して洗浄が必要です。
洗浄して綺麗になりました。これでスムーズに回転します。ロレックスは簡単にベゼルが外せる構造です。オメガのシーマスターなどは外すと変形してしまう事がありますので、無理せずそのまま洗浄することがあります。
防水検査を行いケーシングしてテストになります。
修理内容、金額の参考にして頂ければと思います。
ダービー&シャルデンブラン トリプルカレンダー ムーンフェイズのオーバーホール
ダービー&シャルデンブラン Cal.ETA.7751ベース
症状:精度不良(遅れ)・ムーンフェイズ不具合
修理内容:オーバーホール、ゼンマイ・パッキン交換、ケース洗浄
修理金額:33,000円
分解しました。ETA製の7751をベースにしたムーブメントで、クロノグラフにトリプルカレンダー、ムーンフェイズを備えたモデルです。トリカレ・ムーンでは最も多いムーブメントかと思います。
組み立てます。裏スケのため地板や受け板に装飾があります。
クロノグラフの場合はリューズの他にプッシュボタンがありますので、どうしても防水性は強くありません。そのため湿気が入りやすく、パーツが錆びたり変色したりします。こちらも個体は綺麗な状態です。
裏面です。写真は分解前のためパーツに汚れが見られます。
ムーンフェイズが送れない不具合がありましたので、パーツを加工します。
ムーンフェイズが時刻と連動するように調整します。ムーンフェイズは日付や曜日とは違う時間に進みますので、早送りする際は注意が必要です。ムーンフェイズと時刻が噛んでいる状態で早送りをするとパーツが摩耗したり、最悪歯が欠けたりします。
6時位置に見えるのがムーンフェイズです。他のパーツは入手出来ますが、ムーンフェイズのディスクはオリジナルデザインの場合がありますので、ディスクの歯が欠けるとメーカーでの修理が必要になることがあります。
ケーシングしてランニングテストします。クロノグラフですが秒針は無いモデルになりますので、精度チェックにはクロノグラフを作動させてテストが必要です。クロノグラフをたまには動かした方が良いかと聞かれることがありますが、どちらでも構わないと思います。注意するのはフライバックがあるモデルは出来るだけフライバックさせない方が良いとお伝えしています。ちょうどブレゲのフライバックモデルのオーバーホールがありますので、また記載いたします。
IWC オールドインター Cal.8531のオーバーホール
IWC オールドインター Cal.8531
症状:定期メンテナス
修理内容:オーバーホール・ケース洗浄
修理金額:27,500円
分解しました。IWCのビンテージモデル、オールドインターです。ペラトン式の自動巻ユニットを備えた名機と言われますが、個体差はかなりあります。こちらの個体は状態も良く、特にひどい摩耗等は見受けられません。
組み立てます。この8531などの85から始まるキャリバーは年式で色々とモデルがあります。互換性があるパーツと、同じように見えて流用出来ないパーツとがあります。部品はある程度入手出来ますが、ほとんど海外(ドイツ、スイスなど)から個人輸入になりますので、高額になりがちです。
裏側です。日送りはシンプルな構造ですが、キャリバーナンバーによって0時近辺を行ったり来たりで早送り出来るものと、出来ないものがあります。
ダイアルと針を取り付けます。18金のケースで高級感があります。針は曇っている場合は薬品で落とします。変色や腐食の場合は処理が出来ませんのでそのまま取り付けます。写真は薬品処理で光沢を取り戻しています。
自動巻ユニットを取り付けてケーシングしました。名機といえどノーメンテだと部品が摩耗しますので、定期メンテナスをお勧めいたします。
また修理の紹介をいたします。価格など参考にして頂ければ幸いです。
CITIZEN シチズン 手巻のオーバーホール
シチズン・手巻
症状:不動(ゼンマイ切れ)
修理内容:オーバーホール・ゼンマイ補修・ケース洗浄
修理金額:16,500円
分解して洗浄しました。シチズンの手巻で、7石の当時一般的なモデルです。石数は多ければ多いほど良いわけでは有りませんが、機能石という点からすると7石は少ないため、一般流通価格帯のムーブメントというのが分かります。
ゼンマイ切れ
ゼンマイが切れていますので交換が必要ですが、新品はありません。厚みや幅、長さ等サイズで代用ゼンマイを探すことも出来ますが、このモデルはありませんでした。そのため切れている部分を加工して使えるようにします。
元のゼンマイとカエシ部分に穴を開け、リベットで繋ぎます。これでゼンマイとして使うことが出来ます。もちろん新品があれば交換が良いのですが、手に入らないとこういう補修を行います。ゼンマイの切れ方によっては交換しかない場合もあります。
ゼンマイが巻けるかと、巻数を確認します。
組み立てました。耐ショック機構がシチズンオリジナルのパラショックです。
裏面です。
ダイアルと針を取り付けます。年式やムーブメントの規格で精度はやや落ちてしまいますが、ある程度には納めるように調整します。
国産でも交換部品は枯渇しています。補修出来ればしばらく様子を見ながらご使用頂けます。